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一級建築士と二級建築士の併願(ダブル受験)をオススメしない理由
読者さんから、一級建築士と二級建築士の併願受験(同時受験・ダブル受験)についてご質問をいただきました。
併願受験とは「同じ年に一級建築士も二級建築士も受験すること」です。
どちらの受験資格もある場合は…
と悩んでしまいますよね。
この記事では、併願受験について私なりに思うことをまとめてみたいと思います!
一級建築士と二級建築士の併願受験は可能?
そもそも制度的に併願受験が可能なのか?という話ですが、結論から言うと可能です。
同じ年に一級と二級を同時受験した場合のスケジュールを、2020年を例に見てみましょう!
[/ti] [ti label=”STEP02″ title=”二級建築士 学科試験”] 2020年7月5日(日)
[/ti] [ti label=”STEP03″ title=”一級建築士 学科試験”] 2020年7月12日(日)
[/ti] [ti label=”STEP04″ title=”一級建築士 製図試験課題公表”] 2020年7月22日(水)
[/ti] [ti label=”STEP05″ title=”二級建築士 学科試験合格発表”] 2020年8月25日(火)
[/ti] [ti label=”STEP06″ title=”一級建築士 学科試験合格発表”] 2020年9月8日(火)
[/ti] [ti label=”STEP07″ title=”二級建築士 製図試験”] 2020年9月13日(日)
[/ti] [ti label=”STEP08″ title=”一級建築士 製図試験”] 2020年10月11日(日)
[/ti] [ti label=”STEP09″ title=”二級建築士 製図試験合格発表”] 2020年12月3日(木)
[/ti] [ti label=”STEP10″ title=”一級建築士 製図試験合格発表”] 2020年12月25日(金)
[/ti] [/timeline]
このように、日程から見ると一応どちらも受験できるようにはなっています。
ただし、かなり計画的に勉強しないといけませんよね。
私個人としては…
一級と二級の併願受験はおすすめしておりません。
その理由を説明していきますね。
併願受験をおすすめしない理由
①1つのことにフルコミットした方が結果が出やすい
何かを成し遂げようとする時は、それが難しいことであればあるほどそのことだけに集中した方が結果が出やすいです。
正しい目的を設定してそこにフルコミット(全振り)すると、最速で最善の結果が出るのは間違いないです。
私なんかは性格上の問題もあって、いろいろと同時にやるよりも1つのことに全振り(フルコミット)した方が圧倒的に良い結果につながります^^
②学科試験の出題内容が違う
一級と二級を比べると、一級の試験範囲が膨大なのはあなたもご存知かと思います。
では、一級の範囲を網羅しさえすれば二級もカバーできるかというと…?
嫌~なことに、一級ではほとんど勉強しない分野が二級で問われるということがあるんです。
出題範囲が異なるため、一級の勉強のみで二級もカバーできるとは限りません。
例えば、二級では木造に関する知識が多く出題されますが、一級では木造はそこまで重点的には学習しないんですね。
さらに、同じ事柄についても、一級と二級では問われる知識の深さが異なってきます。
二級の学科試験では、環境や設備の分野は「建築計画」の中で取り扱われますが、一級の学科になると「環境・設備」という1つの独立した科目になるんです。
それだけで20問出題されますから、当然問われる知識も専門性が高くて難易度の高いものになりますよね。
同時受験をする場合は、基本的には一級の勉強をベースにしながら、必要に応じて二級の勉強も組み合わせていく必要があるでしょう。
ただし、今から勉強を始めたとすれば、学科試験については両方合格できる可能性は十分高いです。
③製図試験は普通に受けても難易度が高い
学科試験は何とか両方合格できたとして、製図試験はどちらも難易度が高いです。
加えて一級と二級では、
- 規模
- 用途
- 要求図面とその縮尺 他
これらが全くと言っていいほど違います。
一級の製図で問われるものの方が規模が大きく、複合用途である(複数の用途を併せ持つ)ことが多いんです。
上記は試験元が事前に公表した課題ですが、ご覧の通り今年の二級では木造2階建ての住宅です。
要求される図面は、例年【平面図兼配置図、立面図、矩計図あるいは断面図】などですね。
ここ7年分の課題を見ると、木造2階建てもしくはRC造3階建の住宅が出題されています。
要求図面のうち、矩計図(断面図)は縮尺が1/20となっており、細かい描き込みが要求されます。
そうなんです…。
一級の製図で出題されるものは規模も大きくて複合的な用途になるので、延焼ラインや防火区画、二方向避難に斜線制限…と、検討すべき事項がかなり多くなります。
これらは二級の製図対策ではあまり意識しなくて良かったところですよね。
このように、一級と二級の製図では問われる内容が違うため、対策しなければならない内容も大きく異なります。
個人的に思うのは…
二級建築士 ⇒ エスキス < 作図
一級建築士 ⇒ エスキス > 作図
こんな比重なのかな?ということです。
もちろんエスキスと作図(プラス記述)のどちらも大事なのは言うまでもありませんが、あえて比較するとしたら?という感じ。
二級の課題はそこまでエスキスに苦戦するということはない気がします。
その代わり、要求図面の縮尺が大きいため、図面がしっかり描けるか?納まり等が理解できているか?が問われているようです。
例えば平面図は、一級だと1/200でいいですが、二級は1/100のスケールです。
さらに、断面図(矩計図)になると、一級が1/200なのに対して二級は1/20!
一方で、一級の課題では、大規模な施設を矛盾なく設計できるか?条件に沿った無理のないプランを作れるか?が問われている気がします。
つまり、エスキスですよね。
(ただ、一級の製図試験では作図量もかなりのものになりますから、エスキスができるだけじゃもちろんダメなんですが…^^;)
試験元から課題が公表されてから試験本番まで、二級は3カ月、一級に至っては2カ月半ほどしかありません。
学科試験終了後にすぐに製図対策に取り掛かったとしても、一級のみの対策でも毎年合格できない人が大勢いらっしゃいます。
そんな中で、同年に同時合格というのはあまり現実的ではないでしょう。
一級の学科と二級の学科、どちらも合格できた場合は、二級の製図は受験せずに一級の製図に集中する、ということになりそうです。
もしも同時合格が可能なくらい勉強できるのであれば、最初から一級に絞って良いと思います^^
何を優先したい?
併願受験かどうかに関わらず、建築士試験を受ける際に大切なのは、一級建築士や二級建築士を取得する目的です。
これがしっかりしていないと、勉強のモチベーションを保つのが難しくなってしまいます。
あとは、あなたが何を優先したいか?
これをよく考えてみてください^^
例えば、級を問わずどうしても早く(早期に)建築士の資格が必要なのであれば…
先に二級を受験してしっかり合格してから、その翌年に一級を受験するというのもアリだと思います!
そのように受験した場合は、合格癖(勝ち癖)が付いた状態で1級に挑戦できるので、メンタル的に有利ですよ♪
さらに勉強の習慣も付いていると思いますので、毎日コツコツと勉強を続けることも苦にならないと思います^^
このように
と、まずはしっかり考えてみてください!
まとめ
最も避けたいのは、併願受験してどっちも不合格になってしまうパターン。
「もし一級に落ちちゃっても、二級があるからまぁいいかな」
こんな気持ちで合格できる試験じゃないのは間違いないです。
とはいえ、併願受験が絶対ダメ!というわけではありません。
もし併願受験を考えているなら、あなたの置かれている立場や目指したいもの、そしてご自身の性格などから総合的に判断してみてくださいね^^
それでは今日も読んでいただきありがとうございました!
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