お知らせ
建築士法改正|知らなきゃ損!要件緩和で既に受験資格があるかも?
先日、建築士会からこんな小冊子が届きました。
令和2年に施行される建築士法改正のお知らせです。
そういうわけで今回は、来年から大幅に変わる新しい建築士制度をチェックしましょう。
いまいちよく分かっていないあなたもこのページを読んでおけば大丈夫!
後になって「えっ受験資格あったの!?」ってならないように最後までしっかり見てね。
新しい建築士制度の概要
はじめに制度の概要を確認しておきましょう。
正式名称:建築士法の一部を改正する法律(平成30年法律第93号)
交付日:平成30年12月14日
施行日:令和2年3月1日
改正されるポイントは大きく4つです。
- 建築士試験の受験資格
- 学科試験が免除される期間
- 実務経験の対象となる実務内容
- 建築士事務所で保存が必要な図書
この記事では、建築士試験に関係が深い①受験資格と②学科試験が免除される期間について解説していきます。
建築士試験の受験資格の見直し
まず、1番大きな改正ポイントがこちら!
実務経験は、試験の前後に関わらず免許登録の際までに積んでいれば良いとする
これまで実務経験は建築士試験を受験する際の要件=絶対に必要なものとなっていました。
学歴によって必要な年数が決まっていて、それをクリアしていなければそもそも受験すらできないというアレです。
これがあるがゆえに即戦力となる建築士(働き盛りの建築士)の数が増えないと言っても過言ではないはず…。
普通の人は一旦就職して実務を積むわけですが、ひとたび働きだしたら忙しすぎて今度は勉強する時間が取れなくなりますよね。
才能はあるし仕事もバリバリできるのに、いつまで経っても一級建築士になれない…。
現在の建築業界は、こうして貴重な人材が埋もれていくという悲惨なことになっています。
それじゃいかんでしょ!ってか若手の建築士少なすぎるでしょ!やばいって!
ということに気付いて
ってなったのが今回の改正です。(おおざっぱ)
実務経験が免許登録要件に
実務経験の扱いが、受験する時に必ずいるもの(受験要件)ではなく、免許として登録する時にいるもの(免許登録要件)に変わりました。
簡単に言うと、先に試験に合格だけしておいて実務は後から積んでもいいよー。
でも正式に免許登録をする時までにはちゃんと実務経験を満たしておいてねーってこと。
これによって学校を卒業後すぐ受験することができるので、若い世代の受験者数アップ&建築士数アップが狙えるという算段です。
今の学生さんは正直羨ましい…。
もし将来的に一級建築士を取るつもりなら、絶対卒業したらすぐ取った方がいいですよ。
いろいろ衰えてきてからだとホントに大変だから……。
学校卒業~免許登録までのルートは主に3つ!
一般的には建築系科目が履修できる学校を卒業してから受験する人が多いと思うので、その場合について考えていきましょう。
学校卒業~建築士免許登録をするまでのルートは主に3つあります。
改正前は1つだけに限定されていたので、選択肢が増えたってことですね。
それぞれ見ていきましょ~。
ルート1:実務を積んで受験(これまでと同じ)
1つめのルートは、卒業後に就職してまずは実務経験を積むというもの。
所定の年数分の実務がたまったら試験にチャレンジします。改正前と同じですね。
ですがこのルートでは激務の合間を見つけて必死に勉強しなければいけないため、正直相当大変だと思います。
タイミングを逃して結果的にこのルートになったというのはあり得ますが、実務なしでも受験できるようになった今、あえてこれを選ぶメリットはほぼないような?
ルート2:実務なしで受験(New)←学生さんオススメ!
改正で新しく登場したルートです。
もしあなたが学生さんなら、絶対的にこれがおすすめ!(理由は前述した通り)
在学中にしっかり勉強しておいて、大学卒業した年にすぐに受験するというもの。
実務なしで受験できるようになったからこそできる手法です。
「そうは言っても研究やら就活やらバイトやらでこっちも忙しいのよ~」って思うかもしれませんが、甘い…甘すぎますよ…。
社会に出たらほぼほぼの確率でもっと忙しくなりますからね。
ストレスとかも出てくるし。(これが大敵だったりする)
自分がどんな状態で勉強に打ち込めるのかなんて分かりませんから、そんな不確定要素満載な就職後に淡い期待を寄せるのは辞めておきましょう…。
卒業後のタイミングで取っておかないと、たぶんあなたは10年後にこう思うはず。
「なんで学生のうちに勉強しなかったの…あんなに時間あったのに!」
そうならないためにも私から言っておきます。
ちなみに細かく言うとどの状態で受験するかで、さらに3通りに分かれます。
ルート2-1:大学卒業→大学院進学→院在籍中に合格→就職して実務を積む
ルート2-2:大学卒業→就職→合格→実務を積む
ルート2-3:大学卒業→フリーター→合格→就職して実務を積む
ルート2-1では、大学院に進学した場合は修士課程→卒業まで2年ありますから、院生のうちの受験チャンスは単純にいくと2回ですね。
できればM1の時に合格できておくと、その後の就活に有利かもしれません。
ちなみに頑張れば院生のうちに実務を積むことも可能です。
詳しくは↓のQ4を見てください。
ルート2-2では、就職してすぐ受験することになるのでちょっと1発勝負感があります。
入社初年度でダメだったら2年目以降は仕事しながらの勉強になっちゃいますから…。
ルート2-3は大学卒業後にフリーター!?と思われるかもしれませんが、個人的には結構オススメです。
理由は試験勉強に集中できるからというのもありますが、それ以上に試験終了後は就職まで好きな時間を過ごせるからです!
この機会に世界中を旅して回るのも良いですし、気になっているいくつかの企業にインターンシップに行くのも良いですね。
そうすれば就職にもつなげやすいと思います。
新卒を積極的には採用しない企業も増えてきていますので、大学卒業後すぐじゃないと雇ってもらえないかも?なんて心配はこれからは不要でしょう。
でもでも、試験終了後の時間の使い方で私が1番オススメしたいのは…ビジネスの知識を付けるための勉強をしておくこと!
独立してもやっていけない建築士が多いのは、みんなマネタイズ(収益化)ができていないからです。
正しいビジネス知識やマネタイズを身に付ければどんな境遇でもやっていけますから、この機会にぜひ学んでほしいです。
建築士試験のおかげで勉強の習慣が付いてるから多分そんなに苦にならないはず。
一級建築士の勉強より遥かに楽しいし有意義だと個人的には思います。
もちろん私も起業の前にビジネスの勉強をしましたよ~。
ルート3:実務の途中で受験(New)←社会人には現実的
「学生の話ばっかりだけどもう働いちゃってる私はどうすれば?詰んだ?」というあなた。
大丈夫です。詰んでません。
既に社会人の方におすすめなのがこちらのルート!(おすすめというか、現実的)
実務年数を気にせずに、あなたの好きなタイミングで受験しちゃいましょう。
合格の前後の実務期間を合わせてカウントすることができるようになったので、まだ所定の実務年数に達していない場合でも受験してOKです!
「ちょうど今年は仕事がスローダウンするから余裕がありそうだ!」という時や「担当物件が途切れたこの隙に!」という時に受けちゃいましょ。
それでもって合格前後の実務経験を足し合わせて所定の年数をクリアできたら、その時点で建築士の免許登録ができます。
実務に関するQ&A
ちょっと途中話がそれた気もしますが、だいたい分かっていただけましたか?
実務の算定期間などに関してはちょっとした疑問も出てくると思いますから、ぜひこちらもチェックしてみてください。
個人的に感じた疑問を国土交通省や建築技術教育普及センター(試験元ですね)に直接問い合わせて、それをQ&A形式にしています!
学科試験が免除される期間の見直し
さてさて、続く2つめの改正内容が学科試験免除の仕組みについて。
これもかなり大幅な改正ですね。
「ずるい!!」と思った人が結構いるんじゃないでしょうか。笑
なんと学科試験合格の有効期間が3年から5年に変わります。
5年間で3回までは学科なしで受験できる
1年目で学科合格したものの製図は不合格…
そして2年目も惜しくも不合格。
いわゆるカド番受験生。
免除される回数は2回(初年度に製図を欠席するなら3回)です。
5年間すべて免除になるわけじゃないので注意。
じゃぁ何が変わるのかというと、免除されるタイミングです。
学科合格の有効期間5年間のうち、その3回をいつにするかは好きに選べるということ!
言葉じゃ分かりにくいので、図を使いながら実際に3つのケースを見ていきましょう。
説明のために、ちゃこさんに受験生役になってもらいます!
そして、ちゃこさんには何回も製図試験に落ちてもらおうと思います。
CASE1:3回製図試験に落ちると5年以内でも学科からやり直し
まず最初のケースは、学科試験に合格できた年から毎年製図試験を受けましたが、連続で不合格になってしまった場合です。
おーこれはちゃこさん、だいぶ苦労しましたね…(^^;
3回製図を受けてすべて不合格になっちゃったので、4年目はまた学科からやり直しです。
間違えないようにしたいのは、1度学科試験に合格してもそれ以降の4年間がすべて学科免除になるわけじゃないってこと。
1回の学科合格を使って製図試験が受けられるのは3回までです。
こんな感じで製図を連続受験する場合は、結局改正前とほどんと変わらないですね。
CASE2:5年間を有効に使って製図のタイミングをうまく調整
次のケースは、製図受験のタイミングを工夫した場合。
最終的に製図に合格したのはさっきと同じ5年目ですが、受験の仕方がだいぶ違いますね!
ちゃこさん、1年目と3年目の製図はお休みしたようです。
5年間のうち好きなタイミングで製図の受験ができるというのはとても良いですね。
改正前にはなかった「お休み」制度、ぜひ有効に使いましょ~!
このケースのように、学科に合格した初年度の製図をお休みすることもできますよ。
その場合は残りの4年間で学科免除が3回使える、ということになります。
CASE3:製図を3回受けてなくても5年越えで学科からやり直し
最後のケースは、5年以内に3回の製図受験ができなかった場合です。
ちゃこさん、これはもったいないっ。仕事が忙しすぎたんでしょうか。
この例のように製図試験を3回受けていなくても、5年経過したら学科試験合格の有効期間が終了してしまいます。
その場合はまた学科から受けなおすことになるので要注意。
製図受験のタイミングを選べる!
はい!ちゃこさんお疲れさまでした。
おかげで読者さんの理解が深まったことと思います。
こんな感じで、製図試験に関しては受験のタイミングが選べるようになったのが1番のポイントですね♪
仕事が中長期スパンで入っちゃう人なんかは特に有難い制度になってくると思います!
受験の計画も立てやすくなりました。
自分のペースに合わせてというのが、だいぶ今の時代に合ってきたんじゃないでしょうか。
まぁ一番の問題は製図試験そのものが今の時代に合っていな…(げふんげふん
女性建築士の活躍を後押しする!
実は私、この改正は私たち女性建築士の活躍を後押ししてくれると密かに期待しています。
というのも、女性ってどうしてもキャリア形成の重要な時期(20代半ば~30代頃)に結婚・出産・子育てが重なってきてしまいますよね。
これはもう避けて通れないことなので、それありきで計画を立てるしかありません。
ですがブランクから復帰する時に建築士資格の有無が与える影響は絶大です。
想像してみてください。
あなたは大学院を出て、憧れだった設計事務所に就職しました。
最初の1年はそれこそ寝る間もないほど働いて、どんどん成長していきます。
働きだして2年経って実務経験がたまったのはいいけれど、とても試験勉強をするような時間はありません。
仕事に打ち込む日々が数年続いた頃、素敵な人と出会ってめでたく結婚♥
30歳で子どもにも恵まれ、1年の育児休業を経て職場復帰しました。
しかしバリバリ働くつもりが、子どもがいると以前のように自由には働けず…
無理しながらもしばらく頑張りましたが、職場の人に迷惑をかけている罪悪感もいっぱいになり苦渋の決断で退職することに。
その後、さらに子どもが生まれたり育児に追われたりで、ようやく落ち着いて働ける状況になったのはなんと5年後。
あなたはこの時37歳で、建築士の資格はありません。
さぁ、これからどうやってキャリアを積みますか?
この状態のあなたを、誰がいくらで雇ってくれそうですか?
でも今回の改正で卒業後すぐに受験できるようになったことから、在学中に試験勉強をしておけば新卒での試験合格も十分狙えます。
そうすれば後は自動的に実務経験がたまっていくので、最初だけ頑張れば一級建築士の資格が取得できる仕組みになりました。
たとえ結婚妊娠出産などで一時的なブランクができても、一級建築士資格を持っていると選択肢がぐんと広がります!
事務所を開設して自分で仕事をしていくこともできますね^^
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