お知らせ
建築士が最小の労力で宅建士試験に合格するための戦略
こんにちは!
一級建築士の田口あかね(@akane_arc)です。
「あなたにとってのベストな学習環境で最短ゴールを目指す!合格力UPプログラム」を主催しています。
今回は宅地建物取引士(宅建士)の試験についての記事になります!
建築系の人で宅建士の資格も取っておきたいなっていう人、結構多いんじゃないでしょうか?
宅建士は受験資格がいらないので、在学中に取得しようと考えている学生さんもいらっしゃいますね^^
また、同じ年に一級建築士の試験と宅建の試験の双方に挑戦する猛者も!?
↑この記事でも書きましたが、一級建築士⇒宅建の流れで受験する人はかなりハードスケジュールになります。
製図試験と宅建試験の間が1週間しかないからね!
その場合は相当しっかりスケジューリングしておかないと同時合格は難しい…。
だけどポイントを押さえればもちろん不可能じゃないにゃ!
身近に今年宅建を受験した一級建築士さんがいたのですが、先日その人から超有力な情報をもらいました。
それを元に、一級建築士、もしくは一級建築士の資格取得に向けて勉強中の人が、最も効率よく合格するためにはどうしたら良いのかを考えてみたんです。
それをまとめたのが今回の記事。
題して…
建築士が最小の労力で宅建士試験に合格するための戦略!!
ご存知の通り、宅建士の試験範囲と建築士の試験範囲って被っている部分があるんですよね。
それらをうまく使えば、なるべく少ない労力で効率的に点数が取れるようになります!
宅建を受験した建築士さんの興味深い話
ちなみに情報提供してくれた一級建築士さん(Aさん)は、今年の宅建は不合格だったそうです。笑
それをまず最初にお伝えしておきますね。笑
忙しすぎて全然勉強できなかったそうです。
6時間しか勉強してないから23点しか取れなかったよ~
とおっしゃってました。
そこで私が思ったこと。
…ん???
6時間で23点…って結構すごくないですか??
だってAさんのペースだと、単純計算すると10時間も勉強すれば37点で合格できてしまいますよね。
(近年の宅建の合格点は35点前後)
(ほんとに単純計算なので実際はそうはいかないですが)
「これは何かコツが隠れてる??」
と思った私は、Aさんの話をもっと詳しく聞いてみることに。
すると…?
宅建試験における「時間対効果」が見えてきた!
科目 | 勉強時間 | 得点 | 時間対効果 (1点あたり何分?) |
---|---|---|---|
権利 | 1時間 | 5/14点 | 12分/点 |
関係法令 | 0.5時間 | 4/8点 | 8分/点 |
税関連 | 1時間 | 2/3点 | 30分/点 |
宅建業法 | 3時間 | 7/20点 | 26分/点 |
その他 | 0.5時間 | 5/5点 | 6分/点 |
上記の表は、Aさんが1点取るのに何分の勉強が必要だったか?を科目ごとに分析したものです。
これをみていただくと、時間対効果が高い科目が一目瞭然!
時間対効果とは、かけた時間に対してどれだけの効果があるかを表す指標です。
コスパは費用対効果のことなので、それの時間バージョンだと思ってもらうと分かりやすいですね。
1点取るのにかけた勉強時間が少なければ少ないほど時間対効果が高いということです!
例えば、税関連は1点取るのに30分も勉強したことになりますが、関係法令はたったの8分で良かったことが分かります。
その他の科目も6分ですね。
関係法令とその他の科目は時間対効果が高いね!
なお、比較的難易度が低い宅建業法で1点取るのに26分もかかってしまっているのは、単純に暗記時間が確保できていなかったためだと思われます。
あとで詳しく書きますが、宅建業法は数値ものの暗記が不可欠なので、暗記していないと得点できません。
補足として、ある程度まではかけた時間に比例して点数が伸びますが、そこから先は伸び悩むこともあると思います。
ですので時間対効果は、実際はこんなに単純に比較できるわけではありません。
もちろん個人差もありますよね。
ですが、効率的な点数の稼ぎ方を考える時の一定の指標にはなるかなと思います!
このようなAさんの話(&私自身の受験経験)から分かったことがこちら。
科目 | ポイント | 時間対効果 |
---|---|---|
権利 | しっかり理解することが不可欠 (時間をかければある程度はちゃんと得点できる) | 〇 |
関係法令 | 建築系の人は得意!暗記でクリアできる | ◎ |
税関連 | 範囲が広くてヤマをはりにくい | △ |
宅建業法 | 簡単だけど数値系の暗記に時間がかかる | ○ |
その他 | 建築の知識+語呂合わせで対応できるので難易度は低い | ◎ |
こうして考えると、宅建士の試験でも全科目をやみくもに勉強するのではなく、ちゃんと戦略を立ててやればぐっと効率が良くなるな~と感じました!
一級建築士の学科試験と同じだにゃ
建築士が目指すべき得点配分
時間対効果が見えてきたところで、今度は点数配分について考えていきます。
宅建試験の合格点は例年35点前後です。
目標点は、少し余裕を持たせて37点としましょう!
そうすると…
先ほどの時間対効果も参考にしながら導き出した、建築士(もしくは建築系の勉強をしてきた人)にとって理想的な点数配分がコチラです!
理想的な配点
科目 | 配点 | 一般の人の目標点 | 建築系の人の目標点 |
---|---|---|---|
権利 | 14 | 10 | 7 |
関係法令 | 8 | 5 | 6 |
税関連 | 3 | 1 | 1 |
宅建業法 | 20 | 18 | 18 |
その他 | 5 | 3 | 5 |
合計 | 50 | 37 | 37 |
「一般の人」というのは建築を学んでいない人、「建築系の人」というのは文字通り私たちみたいな人。
もともと50点分しかないので一般の人とそこまで大幅に目標点が変わるわけではないのですが、それでも建築系の人にとって効率の良い科目・悪い科目がやっぱりあるんです。
馴染みのある内容はちょっとの勉強だけで簡単に得点できるもんね♪
それらを含めて考えると、この目標点を掲げて勉強すれば最も効率的に合格までたどり着けるはず!という結論になりました^^
科目別の攻略ポイント
上の表を詳しく理解していただくために、科目ごとのポイントを見ていきましょう!
権利関係(目標:7/14点)
権利関係は、民法からの出題がメインになります。
- 借地借家法
- 区分所有法
- 不動産登記法
通常この分野では10点を目指すよう言われることが多いのですが、実はここが1番難しい分野!
事例問題が多く出題されるので、単に数字の暗記や付け焼刃の知識だけだと得点しにくいです。
要はしっかり理解できているかが問われるってことだね
過去問の回答の丸暗記だけじゃ厳しいにゃ
じっくり丁寧に取り組んでいけばもちろん点数は伸びていきますが、現実的には7点取れるくらいが落としどころかなー?と思います。
その代わり、他のところで点数を稼いでいきますよ!
関係法令(目標:6/8点)
関係法令は、建築系の人には得点しやすい分野です。
時間対効果も高かったよね!
出題内容は以下の通り。
- 都市計画法
- 建築基準法
- 国土利用計画法
- 農地法
- 土地区画整理法
- 宅地造成等規制法
- 開発行為
一般の人(建築系以外の人)にはちょっと敷居が高く感じられるかもしれません。
ですが!
建築基準法や都市計画法は、私たちは一級建築士の学科試験でガッツリ勉強していますよね?
その他の法令についても比較的身近なものです。
ですから、建築士(もしくは建築士試験の勉強中の人)はここは高得点を狙いにいきたいところ!
できれば7点、最低でも6点は必ず取れるようにしておきましょう^^
そんなに深い知識が問われることはなく、数値などをしっかり暗記しておけばいいレベルなので大丈夫です!
税関連(目標:1/3点)
この科目では、不動産に関する税金について出題されます。
- 登録免許税
- 固定資産税
- 印紙税
- 不動産取得税
などですね。
この分野は範囲が広くて出題がちょっと予想しにくいんです
あんまり深追いしない方が良いにゃ
ですので、3点配点のうち1点取れれば良いかな~というところです。
宅建業法(目標:18/20点)
宅建業法は宅建業を行う上で最も基本となる法令なので、出題数も1番多いです(50問中20問が宅建業法から)。
建築士でいう建築士法だね
- 業者の免許制度
- 取引主任者制度
- 保証金
- 広告の制限
- 契約書
- 制限事項
- 報酬
- 罰則
このような内容から出題されます。
これはほぼ暗記で突破できるのでそこまで難しくありません。
ただし、暗記する量が多いので、語呂合わせや単語帳などを活用して、確実に覚えていく必要があります。
スキマ時間をうまく使っていきたいにゃ
しっかり対策できれば18点は十分狙えるラインです!
その他(目標:5/5点)
最後の5問はいわゆる「5問免除科目」になります。
5問免除とは?
現在、宅建業に従事して仕事を行っている人が登録講習を受けることで、5問の問題が免除される制度。
受講者は自動的に5点加算される仕組みで、本番の出題数は45問になります(受講していない人は50問)。
試験時間は同じで問題数が5問少ないので、登録講習を受けた人は有利と言えば有利ですね。
ですが「絶対合格しないとヤバイ」という人じゃないなら、無理して登録講習を受ける必要はそこまでない気がします。
(それと登録講習は誰でも無条件に受講できるわけではありません。)
ちなみにAさんも私も登録講習は受けずに受験しました
登録講習自体の説明はここでは割愛するにゃ
さて、話を戻してその他の科目についてですが、出題されるのは以下のような内容です。
- 住宅ローン
- 広告ガイドライン
- 鑑定評価
- 統計
「税関連」と同じく、この分野も出題範囲が広いです。
が…!
大部分が建築の知識+語呂合わせで対応できます!
建築系の人なら知っていて当たり前(もしくはそれに近いレベル)の問題が出るので、今の知識だけでも十分戦えます。
さらにYouTubeの解説動画などをうまく活用すれば、短時間の勉強だけで満点取ることも可能になりますよ。
ですのでこの科目では満点(5点)を狙いにいきましょう!
宅建みやざき塾というYouTubeチャンネルで、毎年自作の語呂合わせを紹介しておられます。
これを試験前に見ておけば大丈夫です!
(例えば「統計」の解説動画は↓こんな感じ)
毎年動画がアップデートされるので、必ずその年のものをチェックしてくださいね
鑑定評価や統計なんかは毎年変わるからにゃ
宅建試験は科目別の足切りがない!
ここまで科目別の攻略法を見てきました。
もう1つ、見逃せないポイントがあるんです。
それはなんと…
宅建士の試験では、科目別の足切り点の設定がない!
ということ。
これは嬉しいポイントです!
建築士の学科試験では足切り点がありましたよね。
足切り点とは?
科目別に定められた基準点のこと。
総合点で合格点をクリアできていても、科目ごとの足切り点を越えられていなければ不合格となる。
建築士試験では足切り点に苦しめられた人も多いはず…
でも宅建試験では足切りを考えなくていいんだにゃ
足切り点がないということは…
各科目の目標点を自分で自由に設定してOK!
なんですね。
極端に言うと、1点も取れなかった科目があっても良いってことです。
(まぁそしたらその分ほかの科目が大変になりますが…)
あなたも得意不得意があると思うので、今回ご紹介しているオススメの配点を参考に、ぜひ自分でも配点を考えてみてください!
一級建築士と宅建士の同年合格を目指す人へ
同じ年に一級建築士と宅建士の両方合格したい!と思っている人は、スケジューリング(勉強計画・管理)が非常に重要です。
理由は冒頭にも書いたように、製図試験と宅建試験の間隔が1週間しかないから。
1週間でできることは限られてるもんね
製図試験直後はそっちの出来も気になるしにゃぁ
同年合格について以前Twitterでご相談いただいたことがあるのですが、その時も↓このように返信しました。
どっちも中途半端だと双方とも不合格になるリスクがあるので慎重に計画を立てる必要があります。
ですが!
スケジューリングさえしっかりできれば同時合格も不可能ではありません^^
本気で同年合格を目指す人のために、どういうスケジュールが現実的かを考えたので参考にしてみてください!
本気でどっちも合格したい!という人のための計画
- 権利関係は理解に時間がかかるので、製図試験対策と並行でコツコツ進めておく
- 宅建業法は暗記量が多いので、スキマ時間を活用して反復学習をする
- それ以外の3科目の追い込みは1週間でいける場合も!
- このあたりを見極めるために、年内に1度宅建のテキストに目を通しておく
- 過去問アプリを使うのがおすすめ◎
まとめ
今回の記事では【勉強時間が確保できなくて試験には不合格だったけど短時間でけっこうな点数を取れた人】にヒアリングして分かった、「建築系の人が最も効率的に合格するための戦略」をお伝えしてきました。
建築関係の人はただでさえ忙しいと思うので、ちょっとでも勉強の負担が減ったらいいなと思います!
効率的に勉強して、あなたにとって本当に大切なことに時間を使ってくださいね♪
それでは今日も最後まで読んでくださってありがとうございました!
コメント